がんの治療法には、手術や放射線治療、化学療法(抗がん剤)などさまざまな方法があります。その中で「分子標的薬」は、がん細胞の特定の分子(ターゲット)を狙って攻撃する最新の治療薬です。従来の抗がん剤と比べて、より効果的にがんを抑え、副作用を抑えることが期待されています。
分子標的薬のメリット
☑ がん細胞だけを狙う
従来の抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を及ぼし、副作用が強くなることがありました。しかし、分子標的薬はがん細胞の特定の異常を狙って攻撃するため、より効率的にがんを抑えることができます。
☑ 副作用が少ない
従来の抗がん剤に比べて、正常な細胞へのダメージが少ないため、脱毛や吐き気、骨髄抑制(白血球減少)などの副作用が比較的少ないとされています。
☑ 特定のがんに高い効果を発揮
特定の遺伝子変異を持つがんに対して、高い治療効果が期待できます。例えば、HER2陽性乳がんには「ハーセプチン(トラスツズマブ)」、EGFR遺伝子変異を持つ肺がんには「イレッサ(ゲフィチニブ)」など、個別の治療が可能です。
☑ 新しい治療の選択肢として期待される
手術や放射線治療が難しい進行がんや転移がんに対しても、有効な治療法の一つとして注目されています。
分子標的薬のデメリット
⊠ すべてのがんに使えるわけではない
分子標的薬は、がんの種類や遺伝子変異に応じて効果が異なります。特定の遺伝子変異がない場合、効果が期待できないこともあります。
⊠ 薬剤耐性が生じる可能性
これは分子標的薬だけに言えることではありませんが、治療を続けているうちに、がん細胞が薬に耐性を持ち、効果が薄れることがあります。この場合、新しい治療法を検討する必要があります。
⊠ 治療費が高額
分子標的薬は最新の治療薬のため、一部の薬は高額になることがあります。ただし、公的保険が適用される場合もあるので、医師や医療機関に相談することが重要です。
⊠ 特有の副作用がある
一般的な抗がん剤より副作用は少ないものの、皮膚症状(発疹・かゆみ)、高血圧、肝機能障害などの副作用が現れることがあります。副作用が出た場合は、医師に相談して適切な対応を取ることが大切です。
分子標的薬のメリットとデメリットとして
分子標的薬は、がん細胞をピンポイントで攻撃できる画期的な治療法であり、副作用が比較的少なく、高い治療効果が期待できます。しかし、すべてのがんに適応できるわけではなく、治療費や耐性の問題もあるため、医師と相談しながら適切な治療を選択することが重要です。治療の選択肢として、分子標的薬について理解し、自分に合った最適な治療を受けましょう。
当クリニックでは、分子標的薬に関する相談や、遺伝子検査のご案内も行っております。
ご興味のある方は、ぜひご相談ください。